適正/推奨すいみん

それでどれぐらい寝ればいいの?

年齢や性別でも違いがあり、個人差が大きいので、一概(いちがい;みなひっくるめて)にいえませんが、目安があります。

個人差を書かれた飴をナイフでカットしているイラスト

すいみんのめやす

01. 昼間眠くないこと

日中眠くて眠くてたまらない、眠気でぼーっとしてしまう、などの状態は、睡眠が足りていないサイン。いつもそんな状態だとそれが普通と思いがちですが、実際は足りていない可能性が高いのです。

02. 目覚めが爽快(そうかい)で、日中気分良くいられること

よく寝られる(すぐに寝付く、深く寝られる、適正時間寝られる、夜中に目覚めない)と当然ながら目覚めも快適です。それだけで1日気分良く過ごせます。

推奨睡眠時間

厚生労働省が示した推奨睡眠時間

健康づくりのための睡眠ガイド 2023

2023年に出された推奨(すいしょう;のぞましいく、おすすめできること)時間です。幅が大きいのは、それだけ人によって違いがあるということですね。

米国の睡眠財団が出している推奨睡眠時間

2015, National Sleep Foundation

この推奨時間は、アメリカの睡眠財団が健康と睡眠時間に関するさまざまな研究結果をもとに割り出したものです。これは欧米人の推奨時間で区分が細かいので目安の一つとなります。

睡眠負債って?

日々の睡眠不足がたまってしまう状態をお金や品物を借りることを意味する負債(ふさい)にたとえた表現です。知らず知らずのうちに睡眠不足(借り?)がたまってしまうことは、忙しい現代人にとってむしろ普通のことかもしれません。

しかし一方で、仕方がないではすまされないほどの弊害(へいがい;害となること)があるともいわれています。個人でいえば、6時間睡眠を1週間続けた後の認知パフォーマンスは、一晩の徹夜した後のパフォーマンスと同程度であったことを示す研究もあり、またさまざまな病気のリスクを背負うことになります。居眠りが原因の事故など人命にも経済にも打撃を与える惨事(さんじ;いたましい事件や出来事)が実際に起こています。また後述(こうじゅつ;後でのべる)するプレゼンティーズムの問題など、多大なる経済損失が試算されており、睡眠負債の問題は決して小さくない問題だといえそうです。

そして特に18歳未満のお子さんは要注意!

将来の基盤となるからだと心を作る大事な時期です。この時期の睡眠は、大人が日々とっている睡眠以上の役割があると考えられます。

小中高生の睡眠時間と身体不調、不安、学業や非行などとの関連を調べた研究はたくさんあり、そのほとんどは睡眠時間が短い(不足している)ことと体調の悪さ、精神的な不安定さ、学業成績の悪さ、攻撃性(こうげきせい;相手を傷つけようとすること)などと関連があることを報告しています。

それぞれの人にあった適正睡眠時間を割り出すことは難しいですが、睡眠日誌をつけることで個人に合った睡眠時間のおおよその見当がつけられます。

まずは下記に注意してみましょう。

  • 布団(ベット)に入った時間
  • それから何分くらいで眠れたか
  • 夜中に目が覚めた回数
  • よく眠れたか
  • 何時に起きたか
  • 日中の眠気、集中力等
日誌の記録方法イラスト

できれば日誌を1週間、可能ならば2週間程度続けます。何時に寝て、何時に起きるパターンがもっとも調子が良い、日中いきいきと活動できるか。 ご自分の睡眠パターンをさぐってみましょう。

\ インストールしてお使いください!/

もしスマートフォンなどの操作に慣れた方ならば、睡眠用のアプリなどが便利で使いやすく、おすすめ!

ご自分の中にある「良いの睡眠パターン」に近づけるように、生活スケジュールを考え直さないといけないかもしれせん。日中も眠くなく、充実した時間が過ごせるようになれば、能率もあがります。

十分な睡眠が取れないことあって、翌日に疲れが持ち越されてしまい、起きているのに寝ているような状態で過ごすことをプレゼンティーズム(presentism)というそうです。

ついついゲームや動画が面白すぎて…、友達とチャットしちゃって…3時、4時まで夜更かししてしまった…はたまた遅くまでの残業…飲みすぎてしまった…運動不足や悩み事があって寝ても疲れが取れないなどなど、どうしても次の日の朝が厳しいですよね。

朝、いつも通り出かけたものの、午前中は疲れてて自分が使い物にならない…。お昼を食べると一層眠くなる。でも夕方から夜になると、結構元気になってきて、ついついまた夜更かし…。

この繰り返しで、日中はなかなか集中できなかったり、生産性が上がらなかったり… たまってきた疲れも抜けない気がする…これがプレゼンティーズムの状態のようです。

これにはいわゆる夜型、朝型、中間型など、クロノタイプという活動・睡眠のパターンも関わっている場合もありますが、昼間、集中できずにボーっとしてしまう時間を効率的(こうりつてき;ムダがなく、労力をさいた分以上に結果がよくなること)な時間にかえるには、まずは日中眠くならないように寝る時間を早めたり、疲れがとれるように睡眠を調整することが大事といえそうです…。

※ただし「睡眠相後退(前進)症候群というリズム障害が隠れている場合もあります。何もしてなくても、深夜まで寝付けない、また朝起きられないなどのパターンが続いてどうもおかしいな…と感じたら、睡眠専門の外来へ相談してみましょう。

睡眠は時間より質って聞いたんだけど?

確かに睡眠の質を高めることはとても大事です。

同じ時間ベットに入っていても、良く眠れた時と眠れなかった時の差はとても大きいものです。ぐっすり眠れれば、多少短くても大丈夫?と思えますよね。

実際、主観的(しゅかんてき;自分の感じ方)な睡眠の質は精神的な安定感や幸福感、うつ、自殺願望などと関連があることを示す研究が非常に多くあります。睡眠の質を確保していくことはとても大切なことです。

ところで睡眠の質って何?

次の1~5は睡眠の質を測るために使われているアンケートから一部を抜粋(ばっすい;ぬき出すこと)したものです。

  • 寝付きが良いか。
    ベットに入ってから眠りにつくまで、30分以上かかってしまうようだと、寝付きが良いとはいえない状態です。
  • 途中で何回くらい目覚めたか。
  • 日中の眠気はどのくらいか。
  • 眠るために薬などを服用しているか。
  • 自分の睡眠の質はどれくらいだと評価できるか。

これらのアンケートから睡眠の質がどのようなものと考えられているかわかると思います。

つまり、睡眠の質(内容・中身)が良いとは下記の状態をさしています。

  • 自然に眠れて
  • 夜中に起きず
  • 昼間も眠気を感じない

​ご自身の睡眠はどのくらいの質でしょうか?
これらは睡眠の「質」を評価する際のポイントとなります。

睡眠に非常に関心が集まっており、睡眠の質を測定するためのアプリや、時計型のウエアブルディバイス、またマットレスなどさまざまな商品が開発されています。可能なら、これらを利用するのも一つの手かと思います。

​また、もちろん時間も質のうちです。いくら質といっても、8時間とるべき睡眠を質の良い4時間の睡眠で代用するのは、多くの人にとってはやはり無理がありそうです……。特によく眠れる(=睡眠の質が良い)成長期にあるお子さんたちの睡眠の評価は、睡眠時間ですることが多いです。しっかりと時間を確保することは質にもつながります。

それで睡眠の質ってどうやってあげるの?

よく眠れる、質の高い睡眠をとるためのポイントには以下のようなものがあります。

POINT
毎日だいたい決まった時間に寝ること起きること。
週末も就寝・起床時間をあまり変えない。

寝る時間や起きる時間がバラバラであること、週末と平日の差が大きいと心身に良くないことが多数報告されているので勧められていないのです。

POINT
寝る2時間前には、食べたり飲んだり、激しい運動や熱いお湯での入浴をしない。

アルコールはもちろん、カフェイン入りのコーヒーや紅茶、炭酸、チョコレートなども良い眠りを妨げといわれます。

POINT
ベットに入る1時間前には、TVを見たりやコンピュータ、電話などはしない

特に寝室にスマートフォン、PCなど電子機器を持ち込んで、寝るまで見ていることは非常に睡眠の質を落としてしまうといわれています。

POINT
寝室は、静かで暗く、暑くしない。

遮光カーテンがある場合、起きたらカーテンを開けて明るい光を見る。次から睡眠中に私たちの体の中で起こっていることを見ていきましょう。